無駄と暮らす家
(大阪市)
『大改造!!劇的ビフォーアフター』2003年11月2日(日)放送(再生住宅:リノベーション)
瀬川 浩一「空間構造の戦略家」
わずか12坪の小さい家に、玄関が2つ、トイレも1階に並んで二つ、それでいて風呂がないなど、驚くべき構造で家族を悩ませる“無駄と暮らす家”を、“空間構造の戦略家”ことリフォームの匠、瀬川浩一が劇的に大改造する。
たったの12坪の家に、玄関が2つ、トイレも1階に並んで2つ、家族の居場所はわずか5畳の居間しかなく、その上に風呂がないなど、驚くべき構造で家族を悩ませる通称“無駄と暮らす家”を、“空間構造の戦略家”こと、リフォームの匠、瀬川浩一が劇的に大改造する。
大阪市西淀川区のN家は、築42年、12坪の木造2階建ての1軒家。現在3人家族で暮らしているが、かつては一階に1世帯、2階に2世帯が暮らす、合計3世帯が暮らすアパートだった。ゆえに、玄関が2つあるのをはじめ、上がった途端に下ることになる不思議な階段や、1階に並んだ2つのトイレ、さらに3つの台所など、とても無駄が多い造りになっており、家族はわずか5畳の居間に追いやられている。
そうした無駄なスペースとは対照的に、肝心のお風呂がなく家族で銭湯通いを続けるなど、驚きの問題点が噴出。そんな中で、妻は間もなく2人目の子供を出産予定だ。新しい家族のためにも、家族が明るくのびのびと暮らせるような家にしたい。そんなN家のせつなる願いを受けて、リフォームの匠、瀬川浩一が立ち上がった。 住空間の中で縦の広がりを有効に活用し、快適な住まいを生み出す、別名“空間構造の戦略家”。匠・瀬川は、N家の不思議な構造に驚きつつも、細部までチェックし、劇的な大改造に挑むことを宣言する。
スタジオでも匠の大改造の行方を徹底推理。「匠は、家の裏側にも、もう一つの縦の空間を作ったが、これを使って何をしようとしているのか」「匠は、N家の無駄の象徴といえた、階段の“手すり”と“踏み板”を使って何を作ろうとしているのか」などの問題に頭をひねらせる。クライマックスでは、病院での出産を無事乗り越えた家族が、劇的に生まれ変わった我が家と感動の再会を果たす。
(以上、ビフォーアフターHPより抜粋)
設計コンセプト
以前は3世帯のアパートとして機能していた中谷邸。現在は中谷家の家族4人の住宅である。その為、アパートとして使われていた機能が残りそのスペースが現在の中谷家にとっては非常に不必要なスペースとなって残っている。
3世帯分の台所、2ヶ所の玄関、2階2世帯分の急な階段と上がればすぐに下りる危険で、トイレに行く為だけの階段。それらは機能せず小さな空間の集合体となり、デットスペースと化している。
今回の改装では、小さく区切られ、狭くて暗い空間の集合体を以前とは正反対な2階建の上下の動線を充分に生かした明るく開放的な居住空間を提案した。
2つの筒が建物の核である(立体的演出)
提案
座卓
1台で座卓とテーブルの2つの機能を持つ。壁面のレールを利用し移動する事が出来る。
本棚
手摺、階段の踏板を使い本棚を造る。手摺部分にはガラスをはめ込み照明で光る飾り棚に。階段の踏板には重い本を置く事とする。扉は既存の建具を再利用。
小窓
既存の建具の一部を再利用し、玄関とLDKを仕切るつい立ての小窓とする。玄関先とのコミュニケーションをとる事ができる。
畳ベンチ
LDKの北側の吹抜部分に畳ベンチを設ける。ベンチの下部は引き出し式の収納となる。基本的にはご主人のくつろぎのスペース。しかし、座卓からテーブルになるとベンチ部分が椅子として機能する。
キッチンカウンター
小さな子供がいる中谷家。必然的にお母さんが子供の行動を見渡す事の出来る対面式のキッチン。その前に多機能なカウンターを造る。一番上の取手を引くとダイニングテーブル、お母さんの作業台、子供のお絵かき机となる。一番下の取手を引くとテーブル用の椅子となる。この椅子はLDKの座卓をテーブルとした時の椅子としても機能する。椅子のフタを開けると収納となっている。中央の取手を引くと引き出し式の収納。向かって一番左側はお母さんの為のドレッサーとする。開けると鏡が。